医療事故と医療過誤
医療事故や医療過誤という言葉を耳にすることがありますが、医療事故や医療過誤という言葉は、同じ意味なのでしょうか?
医療事故とは、一般的に、医療に関わる場所で、医療の全過程において発生するすべての事故を指しています。ですから、医療事故が発生したという場合、医師や看護師など医療従事者の過失の有無、事故発生の予見可能性や結果回避可能性の有無にかかわらず、患者が不利益を被るような事態が発生したことを指しているのです。
また、医療事故は、患者側に不利益が発生した場合だけではなく、医師や看護師などの医療従事者が不利益を被るような事態が発生した場合にも使用されます。
他方、医療過誤は、医療事故のうちで、事故発生の予見可能性や結果回避可能性もあるにもかかわらず、医師や看護師などの医療従事者側に過失により患者が不利益を被る場合を指す言葉です。
他者から危害を加えられた場合に損害の賠償を求めることができます。このような他者から危害を加えられる行為を不法行為といいます。
危害を加えられた者が、危害を加えた者に対して損害賠償を求めるには、危害を加える行為と発生した結果との間に因果関係が必要になります。また、危害を加えた者が、発生した結果を予見でき、予見した場合には結果を回避することができる場合でなければなりません。
医療過誤とは、医療事故のうち、患者側に発生した被害で、法律上医師や看護師など医療従事者に損害賠償の請求を求めることができるものということになるのです。
ここでは、患者側に危害が発生したもの、それも医師や看護師など医療従事者に過失が認められるものについて説明を行います。